2016-01-01から1年間の記事一覧

部屋の記憶

ここには誰もいない 時間が横たわっているだけ そこにある机は 誰かが使っていたものだろうけれど それがいつのことだったかなんて 知ってる人は もうどこにもいない 冷たい壁も 同じようにして 誰かがいつか触れたかもしれないけれど それがいつのことだっ…

私が腐る前に

足元はもう十分 毎日まいにち 踏みしめている 良い良い土が 待ってくれている 腐らないからって甘えていたら 心が固くなっていた いらないよ もう これ以上は 求めたりしないよ もう これ以上は 清く正しく傷つくよ

冬のはじまり なんてことないある夜の話

店を決める前からもう、その雨のようなものは降り始めていた これはただの水だから大丈夫だよ 濡れない 肌寒かったけど どうしても外で暖かいものが飲みたかった 季節はずれのオープンテラスを指差す 返事は聞く前からわかっている 私たちはノーと言わない …

わるぐち

ふかく傷ついたことがあるのだろうきっと問題はないどちらもとびきりやさしい人言いたいなら言ってよ わるぐち忘れるのは得意なの言いたくないなら そのままであなたが守ったものわたしも守るよ

景色を変える

例えば 歩道を歩いているなら、その端のちょこんとしたブロックに乗ってみる すりガラスの窓を少し開けてみる 秋の風がゆっくりと部屋の中に入ってくる そんな風にして それだけで見えなかったものは見えるようになると私は思う 目をぎゅっと瞑ってみて まぶ…

ふんだりけったりマンデー、の結末

朝から晩まで働いた日 帰りの終電では、眠ってしまっていて、降りるひとつ前の駅で目が覚めた あそこで起きて、電車のドアの側にでも立っておけばよかったんだな もう一度起きたら、降りる駅のドアがちょうどしまった 終電で寝過ごしてしまったことは実はも…

ネットをひらけば、なんでもあるかと思いきや 本当にいま欲しいものは、なんにもないなぁ 最近 twitterにつぶやくことが思い浮かばないなぁ そんなものはじめからなかったのかも 便利なことは、つまり、便利だということで どうやらそれ以上も以下もないよう…

今日は雨

自然と優しくなれる日も 言葉の裏の裏みたいなものまで、 ひどい時は人の笑顔の裏まで、 疑ってしまうような日もある 人の気持ちを勝手に読もうとするなんて、読めると思うなんて 失礼な、無遠慮な、バカみたいな話だなと我ながら思う そんな時、頭のなかに…

夏の終わり なんてことないある夜の話

半分の月は少しオレンジがかって、 絵に描いたよう、溶き卵みたいな薄雲がかかってた 大きなトラックが通ると、大きな橋も揺れる おもしろがって橋の上でジャンプすると、やっぱり、橋は揺れた 話す言葉も話題もなんだってよくて、もう言葉じゃなくてもいい…

ラブレター

岡崎京子さん 私はあなたに会ったことがないけれど あなたのことがとても好き 私の あなたの 人の 存在のたえられない軽さは 描きだされることによってのみ 救われるのかもしれない そんなことをおもったりしました ありがとう。